親会社と子会社がともに上場する「親子上場」が減っています。
2023年度は前年度比1割減って、190社とピークだった2006年度から半減しました。
経済産業省は、2019年、企業統治に関する実務指針で、上場子会社の意思決定の独立性を求めました。
東京証券取引所も2023年12月、上場子会社を持つ合理性や少数株主保護について開示するよう要請しました。
上場親会社を持つ上場企業の数は、2023年度は30年ぶりに200社を割れました。
目立つのは、上場子会社にTOB(株式公開買い付け)を実施して、非公開化する流れです。
伊藤忠商事は、2023年6割出資していた伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)
に3,800億円を投じ、完全子会社化しました。
住友電気工業は日新電機とテクノアソシエ2社にTOBを実施し、上場子会社を4社から2社に減らしました。
ホンダは八千代工業の株式の8割をインドの自動車部品大手のサンバルダナ・マザーサン・グループに売却しました。
DICは、55%保有していた星光PMC株をカーライルグループ傘下のインビジブルホールディングスに売却しました。
富士ソフトは海外アクティビストの要請を受け入れ、上場子会社4社を410億円で完全子会社化しました。
2024年度も、親子上場解消の動きは相次ぎます。
富士通は50%強出資する新光電気工業を政府系ファンドの産業革新投資機構を中心とする連合に売却します。
三菱商事はローソンをKDDIとの共同経営に切り替え、7月24日に上場廃止となります。
帝人は電子コミック配信「めちゃコミック」を運営するインフォコムを米投資ファンドのブラックストーンに2,750億円で売却します。
イオンは、上場子会社が16社あり、日本企業で最も多い。
上場子会社の独立性を尊重し、株主平等の原則に反する行為は一切行わないとしています。
子会社の時価総額が親会社を上回るねじれが生じている例もあり、GMOインターネットグループとGMOPGの時価総額が逆転しています。
資本関係が非効率だとして不満を持つ投資家は多くいます。