今年に入り、世界経済の回復期待から、国際商品価格が、上昇基調をたどるなか、ブラジルや、ロシアなどの資源国の通貨が軟調です。
国際商品の総合的な値動きを示す、CRB指数は、昨年末の、167台から、足元では、190近くまで、約12%上昇しました。
WTI原油先物は、1バレル=60ドル台で推移していますが、50ドルを割っていた昨年末に比べ、25%上昇しています。
対照的なのが、資源国の通貨の動きです。
昨年末と比べ、対ドルで、ブラジルレアルが、10%、NZドル、ロシアルーブルが、3%下落するなど、資源国通貨は、弱含みに推移しています。
豪ドルや、南アフリカランドも弱含みです。
通常は、国際商品価格が上がると、資源国通貨は、上昇する傾向があります。
例えば、2008年には、年初から夏にかけて、原油価格が、5割近く上がり、ブラジルレアルは、15%、ロシアルーブルも7%上昇しました。
その後、リーマンショックで、年末まで原油価格が、78%急落すると、レアルは、41%、ルーブルは、24%下げました。
連動が薄れた背景は、新型コロナ禍を受けた、資源国の金融、財政政策にあると思われます。
ブラジルでは、コロナ対応の財政出動で、公的債務残高が、GDP比、9割まで、膨らみました。
経済の低迷は、なお続いていて、ボルソナロ大統領は、更なる、財政ばらまきに走る可能性があります。
ブラジル中央銀行は、3月中旬に、6年ぶりの利上げに、踏み切りましたが、レアル安には、歯止めが、かかっていません。
政治リスクも、影を落としています。
豪州は、コロナ対応をめぐり、最大の貿易相手国の中国と対立を深め、2020年の中国からの投資額は、2019年に比べて、6割減りました。
農産品などの輸出制限も、経済回復の重荷になっています。
ロシアも、ナワリヌイ氏の毒殺未遂や、サイバー攻撃疑惑に関して、米国と対立を深めています。
通貨安に伴う、輸入価格の上昇は、インフレリスクを高めます。
ブラジルの消費者物価指数の前年同月比の上昇率は、2020年8月の2.4%から、2021年2月は、5.2%と加速しました。
ロシアも、3.6%から5.7%に上昇しました。
インフレを抑えるには、利上げが、選択肢とはなりますが、コロナからの回復途中の経済には、負荷が大きすぎます。
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