株主に自社製品や金券を提供する、株主優待制度を見直す企業が増えています。
2021年9月末までの1年間で、株主優待制度を廃止した企業は、75社と過去10年間で最も多くなりました。
株主平等の観点から、優待よりも配当を重視する企業が増えています。
2021年9月末の導入社数は、1,476社で、2年連続で減少しました。
2年連続の減少は、リーマンショック後の2009~10年以来となります。
新たに導入した企業は、42社と、過去10年で最少でした。
上場企業全体に占める導入比率は、37.9%と、2019年から約2ポイント低下しました。
廃止理由で多いのが、機関投資家からの公平な利益還元を求める声です。
廃止企業の4割にあたる29社が、公平な利益還元を理由に挙げています。
優待の活用が難しい、機関投資家や海外投資家から、不公平な制度だとの批判が多くありました。
【8304】あおぞら銀行は、株主への公平な利益還元の観点から、配当を優先するとして、商品券の贈呈を取りやめました。
【9375】近鉄エクスプレスや【7239】タチエスは、クオカードの配布を止めました。
新型コロナによる、業績悪化を理由にする企業もあります。
【4666】パーク24や居酒屋チェーン【3133】海帆は、自社商品券の提供を中止しました。
中止することによって、財務負担を抑えます。
介護サービスのツクイホールディングスや山陽百貨店は、TOBによる上場廃止で、株主優待も廃止しました。
10月以降も、廃止の動きは続いています。
【4062】イビデンや【2918】わらべや日洋ホールディングス、【2294】柿安本店は、株主平等の原則に基づいて、公平な利益還元をするとして廃止しました。
わらべや日洋ホールディングスと柿安本店は、同時に増配を発表し、株主還元の方針転換を明確にしました。
4月の東証の市場再編では、各市場ごとに基準があります。
最上位のプライム市場では、必要な株主数が、800人以上で、現在の東証一部の2,200人に比べて大きく緩和されます。
個人株主を確保するための手段としての株主優待の優先度は下がります。
一方で、流通株式時価総額や1日平均売買代金などの基準を満たすために、個人株主づくりに取り組む企業もあります。
【6850】チノーや【3501】住江織物は、新たに株主優待を導入して、プライム市場の上場基準を満たして、東証一部からプライム市場に移る方針です。
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