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ロシア中央銀行・保有する金を売却? 【3月15日(火)】

ロシア中央銀行が、保有する金を売却するのではとの思惑が広がっています。


経済制裁で、通貨ルーブルが下落し、外貨獲得のため、金が使われるのではとの見方が背景にあります。


ドル決済網からの排除で、実際には金の売却は、容易ではないと見られますが、相場の波乱要因として意識されています。


ロシアが、金売却に動けば、100トンごとに、平均1.5%金価格が下がるとの試算があります。


国際通貨基金(IMF)によると、2022年1月時点のロシアの金保有量は、約2,300トン(足元の金相場で約1500億ドル=約17兆円)。


全てを売却すれば、35%の金価格の押し下げ要因となる計算です。


ロシア中銀が金を売却するとの思惑が浮上しているのは、過去にベネズエラ中銀が、米国の制裁を受け、金を国外に売却し、外貨を得たと指摘されているからです。


ウクライナ侵攻を受け、日米欧は、ロシア中銀が預けていた外貨資産の凍結を決めました。


一方、ロシア中銀が保有する金は、全てロシア国内にあり、うち95%はモスクワにあると見られています。


金は、人民元と共に、凍結を免れた貴重な資産と言えます。


もっとも、今回、ロシア中銀は、ドル決済網から排除されているので、主要市場であるロンドンなどでの売却の道は閉ざされています。


売却できるのは、制裁に参加していない、中国の上海市場や、制裁に加わっていない中央銀行です。


市場を通さない、中銀同士の金の取引は、過去にもあり、中国人民銀行(中銀)などに売却する可能性も取りざたされています。


人民元の国際化を目指す中国にとって、魅力的な話ですが、ただ、表立って制裁逃れを支援する行為は、難しいとの見方もあります。


金を売って外貨を得たとしても、欧米の金融機関がロシアとの取引を控えるなかでは、下落するルーブルの防衛は難しいと思われます。


一方で、ロシア中銀は、2月末に、一時停止していた国内での金の購入を再開すると表明しました。


ルーブルを使って、国内で金を買い入れると見られます。


ロシアの2020年の金の生産量は、全世界の1割にあたる、331トンでした。


ルーブルが紙切れになっても、金資産を持つことで、中銀の信用を保つ目的があるのではと思われます。


ロシアは、今世紀に入り、金準備を積み増してきました。


特に、2014年のクリミア半島併合後に購入量が増加し、2015~18年には、年間200トン以上の金を買い続けました。


ドル依存を脱却し、制裁に備える目的だったと思われます。


ロシアの外貨資産構成を見ると、2016年6月時点では、ドルの割合が41%、金が16%でしたが、2021年6月には、ドルが16%、金が22%と逆転し、金はユーロに次ぐ資産となっています。


ドル資産を減らし、金を増やしたのも、今回のウクライナ侵攻による、ドル決済網からの排除を、見越してのことだったかも知れません。

 


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