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生鮮食品商社の苦悩【7月28日(木)】

輸送費の上昇や円安進行で、海外産の水産物や食肉など輸入する商社の調達コストが上がっています。


バナメイエビや牛バラ肉は1割、バナナは、2割上昇しています。


国産に比べて、輸入生鮮品は価格の安さが売りで、食品スーパーなどへの値上げが浸透しにくく、供給する商社の利益が圧迫されています。


ある商社では、米国産牛バラ肉の輸入コストは、1割以上上がっていますが、コスト上昇分は、自社で負担しています。


牛肉は、豚や鶏肉に比べて価格水準がもともと高く、価格転嫁が難しい商材です。


ロシアのウクライナ侵攻の影響で、ウクライナ産鶏肉の供給が停滞し、代替として、ブラジル産に欧州や中東の需要が集まり、ブラジル産の値上がりがタイ産の価格にも影響を与えています。


ある商社では、7月からブラジル産やタイ産の鶏肉の販売価格を1割上げました。


水産物では、養殖バナメイエビを輸入する業者の負担がかさんでいます。


ある商社では、殻付き無加工の冷凍品の販売価格を、年初から11%上げました。


ただ、単発の取引ならば、為替レートを反映した価格で販売しやすいのですが、外食チェーンなど、長期契約の顧客とは価格転嫁が遅れやすくなります。


国内で流通するバナナのほぼ全量が、フィリピンや中南米からの輸入品です。


輸入商社は、スーパーなどへ販売する価格を年間契約で決めるケースが多く、輸入コストが、前年同期比で2割上がった都内の青果商社では、取引先の理解はあるものの、費用上昇分の全額は、売価に反映できていないと話します。


バナナは、もともと利益が薄く、コストが少しでも上がれば採算が合わなくなります。


食品スーパーの店頭では、1パック100円程度の手ごろな価格も目立ちます。


オレンジなど他の輸入果物や、価格の高い国産果物に比べて、需要が安定していて、特売の目玉商品になりやすく、安値の仕入れを望むスーパーは多くあります。


今後も、商社の負担が高まる公算が大きいとする見方が支配的です。


食肉輸入業者では、6月以降、円安が一段と進み、コストが増しています。


鶏肉は高値水準にあり、コスト負担は増していますが、価格転嫁すれば、買い手がついてこない可能性があります。


6月の消費者物価指数(生鮮食品を含む)は、前年同月比2.4%上昇しましたが、9.2%上昇した企業物価指数の伸びとの差は大きい。


日常的に食べる食品の値上がりに消費者は敏感で、特に、生鮮品の価格は、仕入れの値上がり分が、流通の川下まで浸透しにくいので、今後も、輸入業者の負担が高まる可能性が、高くなります。

 


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