地方銀行の有価証券運用に変化が起きています。
これまでは、利回りの高い外債を増やしてきましたが、調達コストの上昇などで逆風が吹いています。
代わりに、配当利回りの高い日本株に投資する上場投信(ETF)に資金が向かい、純資産残高は、3,000億円と最高水準に達します。
しかし、足元では米銀破綻に端を発した世界的な金融株安の影響で、高配当ETFの運用にも警戒感が出ています。
ある地銀の運用担当者は、安定的な分配金があり、市場で売買できる高配当株ETFは、使いやすいと話します。
これまで債券や不動産投信(REIT)に投資してきましたが、半年ほど前から、高配当ETFに資金を振り向け始めました。
高配当株ETFは、上場企業の決算に合わせて分配金を出します。
基準価格に対する分配金の利回りは、概ね3~4%です。
東証株価指数(TOPIX)連動型より高く、利回りを求める地銀の需要に合っています。
東証によると、2022年7月時点で日本株指数に連動するETFは、56.6兆円あり、うち9割は、日本銀行の保有でした。
高配当株ETFの純資産残高は、地銀の買いで、現在3,000億円と、この1年で、2割増えました。
データを比較できる2019年以来、最高水準にあります。
野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(日経高配50)」は、日経225構成銘柄から予想配当利回りの高い50社を選んだ指数に連動します。
純資産残高は、771億円と、1年前の2倍になりました。
日経高配50の価格は、3月9日、2017年2月の上場以来、最高値をつけました。
日経高配50は、投資家の需要が強く、追加設定も行い、純資産の残高の伸びを後押ししています。
高配当株ETFの取引きシェアの8割程度は、地銀を中心とした地域金融機関が占めると見られます。
巨額の資金を運用する大手銀行や、保険会社が参入するには、市場が小さいためです。
地銀は、マイナス金利で、日本国債の運用での利益が減り、投資先を外債に移してきました。
欧米の金利上昇で、外債投資が見合わなくなり、保有する外債は、含み損が膨らんでいます。
運用先の確保が求められるなか、地銀が注目したのが高配当株ETFでした。
しかし、高配当株ETFを押し上げてきたバリュー株買いの流れが、3月10日の米シリコンバレーバンクの経営破綻で変わりつつあります。
日本でも、大手銀行株が売られ、組み入れている高配当株ETFの価格も下落しました。
世界的に金融不安がくすぶるなかで、安定的利回りを確保する手段を見つけるのは難しくなっています。
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