中国から日本への団体旅行が、3年半ぶりに解禁されました。
コロナ禍で落ち込んだインバウンド復活の期待が大きい一方で、人手不足で受入れ体制に不安があり、どこまで回復するか見通せません。
関連業界からは、団体旅行の解禁を歓迎する声が相次ぎます。
ANAホールディングスの芝田社長は、8月10日、訪日に弾みがつき、経済の活性化につながると前向きのコメントをしました。
傘下の全日空は、業績の見通しを、中国人団体客が段階的に回復する想定で、計画を立てます。
国際線旅客数の見通しを、2023年4~6月は、2019年比60%の水準でしたが、2024年1~3月は80%まで戻ると見ています。
日本政府観光局によると、1~6月の中国本土からの訪日客は、59.4万人と、コロナ前の約1割でした。
ピークの2019年の年間訪日客は959万人でした。
2019年に観光・レジャー目的で訪日した中国人の3割が団体客、規制解除が回復のカギを握っていました。
みずほリサーチ&テクノロジーズでは、8月に団体旅行が解禁されれば、観光目的の訪日中国人は、198万人上振れすると試算しています。
中国人の旅行支出は、欧米諸国に匹敵します。
2023年4~6月の訪日客1人あたりの旅行支出は、中国人が33万8,000円で、36万円の英国に次ぐ2位です。
韓国(9万4,000円)や台湾(17万7,000円)、フィリピン(16万6,000円)など他のアジア諸国に比べてもかなり多く消費しています。
4~6月は個人客が多く、富裕層が中心と見られますが、団体ツアー客も、足元の円安もあり、大規模な消費や高級ホテルなどへの宿泊を通じて、経済効果が期待されます。
大和総研では、中国団体旅行が8月解禁となれば、訪日客全体の消費額は、2023年に2,000億円上振れし、4兆1,000億円になると見ています。
政府は、訪日客数を2025年に3,200万人にする目標を掲げていますが、達成するためにはコロナ前に全体の3分の1を占めていた中国客が欠かせません。
一方で、深刻な人手不足で、訪日客の受け入れ体制に懸念があります。
2023年の日本の旅行・観光部門の雇用は、560万人と、コロナ前の2019年に比べて30万人少なくなっています。
中国人の海外旅行先で人気が高いのは、東京やシンガポール、バンコクなどです。
中国は、9月29日~10月6日には中秋節と国慶節での大型連休を控えています。
中国人の海外旅行需要の先行きを占う試金石となりそうです。
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