相場全体が調整局面に入った7月以降も、高配当銘柄で運用するファンドには資金流入が続いています。
配当の高さが長期目線のマネーを誘い、相場の下支えとなっています。
日本は主要7ヶ国(G7)では、イタリアとともに、株式市場が最高値を何十年も更新できていません。
日経平均株価が7月3日に付けたバブル崩壊後の高値3万3,753円は、なお1989年末の最高値3万8,915円まで5,000円の距離があります。
ところが、配当の再投資による複利効果を加味すると景色が変わってきます。
配当金の再投資を考慮した総合収益率を示す「日経平均トータルリターン・インデックス(TR)」を見てみます。
1979年末を日経平均株価と同じ6,569として算出した指数は、8月25日時点で、5万4,956です。
2020年11月にバブル期の高値4万3,200を抜き、足元では、その水準を3割上回る最高水準にあります。
日経平均と日経平均TRのパフォーマンス格差は広がってきました。
資本効率の改善や株主還元拡大の要求が強まるなか、企業が配当金を着々と積み増してきたからです。
日経平均採用銘柄の配当利回りは、長く拡大基調で、相場が33年ぶりの水準になった最近も2%程度を保っています。
2013年8月から足元までの10年間の上昇率は、日経平均の136%に対し、日経TRは186%に達しています。
個別銘柄でみても、三菱UFJフィナンシャルグループは、2013年8月末比の株価上昇率は97%ですが、配当再投資ベースの収益率は、179%と8割大きくなっています。
日経平均採用225銘柄でみると、配当見込み収益率が100%を上回る企業が123社と半数を以上あります。
配当は運用成績の下支えも果たします。
武田薬品工業は、40年超連続で減配なしが続いています。
株価は、2013年8月比で0.5%マイナスとふるいませんが、配当見込み収益率は、プラス48%を確保しています。
インカム重視の投信も個人マネーを集めています。
野村アセットマネジメントの「日本高配当株投信」は、純資産が700億円と、日本株の上昇が止まった7月以降、2割増えました。
日本株の再浮上へTRを押し上げる株主還元のさらなる強化に期待が高まります。
そのためには、今後、金利上昇を上回る収益を企業が出していけるかが問われます。
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