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コロナ貯蓄が家計に積みあがっています 【5月23日(月)】

コロナ禍で、家計に貯蓄が積みあがっています。


日銀の試算では、コロナ感染拡大で、消費されずに貯蓄に回った額が、2021年末で、約50兆円と、わずか1年で、2.5倍に膨らみました。


貯蓄が物価高の負担感をやわらげ、個人消費を押し上げるという、日銀が描くシナリオ通りにはいかず、将来不安から、貯蓄が、さらに積みあがる可能性もあります。


2021年4月の日銀「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2020年末時点での超過貯蓄は、約20兆円でした。


日銀は、感染症が収束に向かう過程で、その一部が取り崩され、個人消費が押し上げられる可能性があると、分析していました。


展望リポートから1年、日本は、断続的なコロナの感染拡大に見舞われました。


度重なる緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置で、コロナ貯蓄は、3月末時点で、55兆円まで膨らんだと見られます。


米国でも、コロナ禍で、消費に回らなかった、過剰貯蓄が、2.4兆ドル(約310兆円)超に達しています。


米国政府が、コロナ対策として、一人当たり合計で、最大3,200ドル(約41万円)の現金給付を行い、失業保険の上乗せを、景気回復局面でも続けました。


米国では、こうした貯蓄が、個人消費を支えています。


約40年ぶりのインフレに見舞われているにもかかわらず、1~3月の実質個人消費は、前期比、年率2.7%増でした。


クレジットカードの利用残高は、8,410億ドル(約110兆円)と、前年同期比で、710億ドル(約9兆円)増えました。


日本は、経済再開が出遅れました。


全国で、まん延防止等重点措置が解除されたのは、3月下旬で、ゴールデンウイークには、少しずつ人出は戻ったものの、海外から観光客を受け入れた、諸外国との差は、大きいとの指摘があります。


日本は、貯蓄が、消費に回りにくい構造問題もあります。


コロナ貯蓄が、将来の不安に備える「予備的貯蓄」に回っている可能性が、指摘されます。


金融広報中央委員会が、2021年に実施した調査で、二人以上の家計の金融資産残高の平均目標が、初めて3,000万円を突破しました。


金融資産保有目的のトップは、老後の生活資金で、社会保障への不安などから、貯蓄志向を強めました。


ロシアのウクライナ侵攻や円安などで、消費者物価の上昇率は、年内に2%を超えるとの見方が多いのですが、一方で、2022年春季労使交渉の平均賃上げ率は、2.1%にとどまります。


物価上昇に、賃上げが追いつかなければ、消費は増えません。


積みあがった預金が、銀行を通じて企業への貸し出しに回れば、日本経済にはプラスに働きますが、預金と貸し出しの差を示す、預貸ギャップは、4月時点で、344.2兆円と、コロナ禍で、80兆円以上も増えています。


都市銀行の預貸率は、コロナ前は、50%を超えていましたが、足元では48%まで落ち込み、過去最低水準にあります。


企業への貸し出しが伸び悩むなか、欧米のリベンジ消費のように、日本も個人消費がいつ戻るかが経済成長のカギを握ります。


コロナ貯蓄が、日銀のシナリオ通り、家計の物価上昇への耐性を高め、消費を押し上げるのか、将来の不安に備えた貯蓄の回るのか、日本経済の行方を占う試金石となります。

 


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