漁業の柱が、養殖にシフトしています。
漁業産出額に占める養殖業の割合は、データが残る60年間で、4倍になり、2020年には36%に達しました。
足元のペースで増加が続けば、2030年代には、養殖が漁船漁業を逆転します。
売れる魚種を計画的に生産する、養殖に着目する地域は多く、福岡県や和歌山県で、シフトが加速しています。
海面漁業の内、養殖業の割合は、1960年に9%でしたが、その後、養殖率はほぼ一貫して上昇が続いています。
都道府県別で見ると、佐賀県が89.3%、熊本県が85.8%と、ノリの産地が、上位を占めます。
2015~2020年の5年間で、養殖率が最も増えたのは、福岡県で、18.3ポイント上昇の70.9%でした。
次いで、和歌山県が14.9ポイント高い51.4%、沖縄県の14.2ポイント高、49.0%でした。
福岡県では、博多湾で、煮干しイリコ用のカタクチイワシなどが、取れなくなったことを受け、福岡市漁業協同組合が、加工に使っていたボイル釜を、殺菌水槽に転用し、カキ養殖に乗り出しました。
直営のカキ小屋も始め、外国人観光客の人気を集めました。
3月にはシンガポールへの輸出も開始しました。
収入を下支えするために始めましたが、今では、安定した収入源となっています。
完全養殖は、稚魚を捕獲して育てる従来の養殖と異なり、資源量の増減に左右されません。
近畿大学水産研究所が、2002年に実用化した技術で、近大マグロとしてブランド化しました。
東京銀座や大阪に飲食店を展開するほか、海外販路も拡大しています。
2010年には、和歌山東漁協が、大手水産会社系列の2社を誘致しました。
各地で不漁が相次ぐことも、養殖シフトを加速させています。
遠洋だけでなく、沿岸でも漁獲量が減少傾向にあり、従来型の漁業は、出漁ごとの当たりはずれが、大きくなっています。
漁船漁業を営む企業は、2020年度の漁労利益で、平均4,211万円の赤字となっています。
一方、海面養殖を営む企業は、平均526万円の黒字を出しています。
養殖技術の向上で、陸上養殖も行われており、気候の影響をうけにくく、船を使わないため、高齢者でも働きやすいなどの利点があります。
滋賀県甲賀市では、民間業者がトラフグやヒラメなどを試験養殖します。
養殖場を設けた廃校の校舎を甲賀市が無償貸与し、改修費も4割ほど負担しました。
埼玉県の温泉施設では、2021年秋からサバの養殖を始めました。
近く、併営のレストランで提供を開始します。
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