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つながらない権利 【10月1日(金)】

コロナウイルス禍の中、就業時間外の業務連絡を受けない「つながらない権利」が世界的に注目されています。


テレワークが定着して、私生活との境界が曖昧になり、長時間労働のリスクが高まったためです。


「私生活とのバランスが取れる在宅勤務を実現したい。働き手にはスイッチを切ることが認められるべきである。」と英国野党、労働党副党首は、強調しています。


英国では、ポストコロナの働き方に、関心が高まっています。


労働党は、テレワークを標準的にする法制整備に取組むとし、政策の柱に、つながらない権利の確立を盛り込みました。


就業時間以外にメールなどでの業務連絡をうけないことを、働き手の権利とし、雇用主にこの権利を尊重する義務を課します。


つながらない権利は、2017年にフランスが、主要国で最初に導入しました。


労働法で、この権利を行使するための条件を、労使交渉で取り決めることなどを求めました。


イタリアも同様の法令を整備しました。


欧州連合(EU)は、加盟国が、つながらない権利の法制化を進めるよう求める法案策定を、促す議案を可決しました。


メキシコやアルゼンチンも、テレワーク法などで、つながらない権利を盛り込みました。


カナダでも、法制化を議論する政府の諮問委員会ができました。


つながらない権利の普及をコロナ禍が後押しした背景には、長時間労働など、テレワークの副産物への懸念があります。


EUの調査では、テレワークをしている働き手の27%は、所定労働時間を超え働いています。


2015年の調査では、8%だったので3倍以上になりました。


日本でも、つながらない権利を求める声が出てきました。


2020年9月に連合は、テレワーク導入に向けた「労働組合の取り組み方針」で、就業規則で時間外や休日のメール送付を原則禁止し、不利益な人事評価をしないように定めることを提言しました。


日本労働弁護団も、2021年2月に、つながらない権利の立法化を求める意見書を公表しました。


ただ、日本政府の反応は鈍く、厚生労働省が3月に改訂した、テレワークのガイドラインでは、長時間労働対策は、時間外メールの自粛が有効などの記述にとどまりました。


日本は、もともと仕事とプライベートの境目が曖昧で、時間外の業務連絡にも抵抗感は薄い傾向があります。


テレワークでは、働き手が仕事に没入し、業務時間外であるにもかかわらず自発的に連絡することが日常化します。


労働安全法などで、使用者側の最低限の義務を規定する必要性が高いと思われます。


一部の企業は、独自の取り組みを行っています。


【8113】ユニ・チャームでは、コロナ禍以前から、時間外のメールや電話は自粛していましたが、2020年夏に、コアタイムなしのフレックス勤務制に移行し、さらに仕組みを柔軟にしました。


各自がオンラインの予定管理システムで、同僚の勤務時間を確認し、勤務時間内での連絡を推奨しています。


【2168】パソナグループは、午後8時半以降、業務端末を強制的にシャットダウンする仕組みを導入しています。

 


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