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食品小売り各社・食品廃棄ゼロに 【12月22日(水)】

食品小売り各社が、食材の100%活用に踏み出しています。


【3182】オイシックス・ラ・大地は、野菜セットなどの定期宅配が主力の会社です。


受注に合わせて商品を仕入れるため、流通段階での食品廃棄率は、0.2%と低く、5~10%と言われる一般小売店と比較すれば、ほぼゼロと言えます。


しかし、同社は、野菜の供給元である農家を含めた廃棄ゼロを目指します。


農林水産省の2019年の調査によれば、主要野菜の収穫量は1,340万トンです。


対して、出荷量は、1,157万トンで、14%にあたる約180万トンが、農家の自家消費や、廃棄に回っています。


同社は約4,000件の農家と直接取引しています。


畑で廃棄されている農産物を引き取れば、契約農家の経営の安定にもつながります。


同社は、野菜加工施設「フードレスキューセンタ-」を2022年4月にも神奈川県内に立ち上げます。


これまで農家で廃棄していた、曲がったり、大きさが極端な規格外品野菜も、一括で仕入れます。


不揃い野菜はカットするなど加工し、1食分の調味料と食材をセットにした、ミールキットに使います。


安価に仕入れられる規格外野菜を生かすことで、商品の原価率を1~3ポイント引き下げます。


茄子のヘタなど捨てていた部分も活用します。


例えばブロッコリーの茎は、食べやすい大きさにカットし、素揚げすることで菓子として販売します。


こうした廃棄部分を加工した食品を、2025年までに年商20億円を目指します。


不揃い野菜とヘタや茎を合わせ、2025年には1,000トンをフードレスキューセンターで商品化します。


2021年4~9月、同社の連結売上は、前年同期比、18%増の561億円と好調で、農家から規格外野菜を買い取っても十分使い切れると見ています。


日本の食品産業が出す廃棄物の量は、中国や米国に次ぐ規模で、ESG(環境、社会、企業統治)に対する投資家や消費者の目は厳しくなっていて、小売り各社は食品廃棄物への対応を急いでいます。


【3382】セブン&アイホールディングスは、2020年度、傘下の主要6社で、売り上げ100万円あたり21キログラムの食品廃棄物が発生しました。


2050年までに発生量を2013年度比75%削減し、残る廃棄物も、全量を飼料や肥料にして、食品リサイクル率を100%にする方針です。


セブンイレブンジャパンは、総菜の一部を包装容器の開け口をシールで密閉する方式に変えました。


消費期限が、従来の容器から40時間伸び、サラダ系商品の廃棄量は3割削減出来ました。


2026年2月までに総菜センターと食肉などの加工センターを3~4ヶ所新設し、首都圏のイトーヨーカドーなど200店に商品を供給します。


各店舗での加工に比べ、温度管理を徹底し、精肉などの消費期限を1日程度伸ばすことが出来ます。


食品スーパー大手の【8194】ライフコーポレーションは、食品廃棄物を使った発電施設を設置します。


10億円を投じて、総菜の加工を行う天保山プロセスセンター(大阪市)に併設し、2022年に稼働します。


食品廃棄物を発酵させたときに出る、バイオガスを燃料に発電します。


発酵過程で、廃棄物が小さくなり、年間4,380トンの生ごみを削減できると見ています。


2019年度の食品産業(製造、外食、小売りなど)から出た食品廃棄物は、前年比0.5%減の1,755万トン、うち小売業は118万トンで全体の7%を占めています。


肥料や飼料などにする再生利用の実施率は、食品産業全体では85%ですが、小売業では51%にとどまります。


2017年度から、ほぼ横ばいで、目標の60%には達していません。


食品廃棄物の削減は、ESGの観点だけでなく、食品価格の高騰に対応する点でも重要さが増しています。


11月、東京都区部の輸入牛肉価格は、前年同月比、10%高くなっています。


中長期的にも新興国での需要増加で、食品価格は上昇の傾向が顕著に見られます。


消費期限の延長や、捨てていた部分の商品化など、食材を全て活用する施策が、今後、経営に不可欠となってきます。

 


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