ギグワーカー関連銘柄・世界中で大幅下落【11月24日(木)】
宅配や配車サービスなど、単発で仕事を受ける「ギグワーカー」関連銘柄の株価が大幅に下落しています。
ギグワーカーの待遇改善に向けた、各国の規制強化や、巣ごもり需要の剥落などが要因と思われます。
コロナ禍で、伸びてきた「ギグエコノミー」は、曲がり角を迎えています。
ギグワーカーは、インターネットやアプリを介して、単発の仕事を請け負って、報酬を得る職種などを指します。
料理宅配や配車サービスの運転手などが代表格で、自分の裁量で働けることを望む人や、コロナ禍で失業したり、所得が減った人が、多く流入してきました。
ギグワーカーの労働力に支えられてきた、銘柄の下げがきつくなっています。
米国料理宅配大手のドアダッシュは、11月17日時点で、2021年末比、61%安と大幅に下落、ピークだった2021年11月からは、8割ほど下げています。
英国デリバルーも、2021年8月の高値から、8割弱の水準に下げています。
2020年には、80%上昇した独デリバリーヒーローも、今年に入って、55%下落し、コロナ前の水準に低迷しています。
配車サービスの米国リフトは、2021年末比73%安となり、時価総額は、2019年3月の上場時に比べ、190億ドル(約2.6兆円)減少しました。
日本の出前館は、2020年は、2.8倍に伸びましたが、今年は4割下げています。
中国の宅配サービス大手の美団は、昨年末から32%下げ、インドの料理宅配大手ゾマトは、株価が半値になりました。
急落の背景には、ギグワーカーの報酬コストの上昇懸念があります。
ギグワーカーは、個人事業主とみなされ、最低賃金や、労働災害、雇用保険など、企業の保護が適用されないケースが多いため、労働者や人権団体から批判が高まり、待遇を改善するよう、各国が制度の整備を進めているからです。
米労働省は、10月中旬、ギグワーカーを個人事業主として認めにくくする指針の改正案を公表しました。
スペインでは、2021年に料理宅配を手掛ける企業に対して、配達員を従業員とすることを義務付ける法令を施行しました。
9月には、デリバリーヒーロー傘下の料理宅配グロボに対し、配達員を従業員として雇用してないとし、8,000万ユーロ(約116億円)の罰金を科しました。
欧州委員会(EU)は、2021年に従業員と個人事業主の線引きを明確にする基準を公表し、ギグワーカーを適切に従業員とするよう企業に促しました。
中国政府も美団や、滴滴出行(ディディ)などのプラットフォーマー企業に対し、ギグワーカーの権利を保護するよう求めました。
コロナ特需の剥落も、株価の下げ要因です。
特に欧米に比べ、経済再開が遅れた日本での影響が大きく、出前館の2022年8月期の流通取引総額は、期初予想の3分の2にとどまりました。
デリバリー事業の成長鈍化で、2023年8月期まで5年連続赤字となる見込みです。
規制強化や市場環境が変化するなか、企業の合従連衡や投資家による企業選別の動きは、今後加速する可能性があります。
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