京都市・建物の高さ規制を緩和【4月17日(月)】
京都市は、建物の高さに対する景観規制を緩和します。
昔ながらの街並みの景観を守る目的で、2007年に景観規制を導入しましたが、マンションやオフィスの供給不足を招き、若い世代を中心に人口の流出が続いています。
JR京都駅から電車で10分の滋賀県大津市内では、大型マンション開発が、相次いでいます。
若い世代を中心とした、京都市内からの人口流入が背景にあります。
京都市の人口は、2021年の1年間で1万1,900人減少しました。
減少幅は全国の市区町村で最も大きく、特に30~40歳代の転出が目立ちます。
若い世代が京都を離れる大きな理由が、住宅の供給難です。
京都市内の新築マンション価格は、2022年に平均4,975万円と、過去2年間で、4割上昇しました。
大都市圏のマンションは、全国的に上昇傾向にありますが、開発用地が少ない京都市内は、特に値上がりが激しくなっています。
2007年に導入した景観規制は、原則、建物の高さを31mに制限しています。
一般的なマンションなら、10階建て程度で、住宅需要に供給が追いつきません。
京都市は、2021年に都市計画の基本方針を見直し、市内5地域で、規制を緩和する予定です。
都市計画審議会の承認を得て、4月中にも、新たな規制に移行します。
京都駅南側では、オフィスなどの立地を促し、高さの上限を20mから31mに引き上げます。
市東部のJR山科駅付近では、条件を満たしたマンションなどに対し、31mの高さ制限を撤廃します。
京都は、オフィスも不足気味です。
市内の賃貸オフィスで、延床面積1万坪以上の物件は、面積ベースで、5%にとどまります。
東京23区の58%、大阪市の47%を大きく下回ります。
高層のオフィスビル開発は、採算性に優れ、細切れの土地の一体開発につながります。
半面、開発のひずみを懸念する声もあります。
子育て世代の人口が増えれば、新たな学校整備なども求められ、政令指定都市で、財政が最悪水準の京都市にとって、負担は軽くありません。
京町家と呼ばれる伝統的木造家屋は、年間800軒のペースで解体されていて、規制緩和が、拍車をかける恐れがあります。
2007年の景観規制は、不動産業界などの反対を押し切って導入しましたが、規制の見直しは、京都市にとって苦渋の決断です。
中古住宅の供給を増やすため、京都市は、全国初の「空き家税」を2026年度にも導入します。
140万人の人口を抱え、観光以外にも様々な産業が集積する大都市が、景観保護一辺倒
での市政運営は難しく、成長と伝統をどう両立するか、京都ならではの答えが求められます。
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