米国モデルナ、売上げが23倍・ファイザーは2倍 【3月2日(水)】
コロナワクチンを開発した、製薬会社の業績が伸びています。
米モデルナは、2021年12月期、初めて通期で最終黒字となり、米ファイザーの純利益も2.4倍に膨らみました。
モデルナが2月24日発表した、2021年12月期の最終損益は、122億ドル(約1兆4,000億円)の黒字(前期は7億4,700万ドル=860億円の赤字)に転換しました。
2010年の創業以来、初めて通期で黒字となりました。
売上高は、184億ドル(約2兆1,000億円)と前の期の23倍に膨らみました。
コロナワクチンを開発した、ファイザー、モデルナ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、英アストラゼネカの決算は、揃って大幅増収となりました。
特に、「メッセンジャーRNA」タイプのワクチンを手がける、ファイザーとモデルナは、コロナワクチンが主力となっています。
総売上高に占める、コロナワクチンの売上は、モデルナは96%、ファイザーも45%に達しました。
ファイザーの全体の売上高は、前期比、95%増の812億ドル(約9兆3,000億円)となり、純利益は、2.4倍の219億ドル(約2兆5,000億円)に拡大しました。
一方、「ウイルスベクター」タイプを手がける、ジョンソン・エンド・ジョンソンとアストラゼネカは、コロナワクチンの業績の寄与は限定的でした。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、米国でワクチン接種が一時中断されたことが影響しました。
追加接種はありますが、2022年度のコロナワクチンの販売は、一服する見通しです。
ファイザーは、前期比13%減の320億ドル(3兆6,700億円)、モデルナは、7%増の190億ドル(約2兆1,800億円)を見込んでいます。
「メッセンジャーRNA」タイプの需要が、引き続き多く、ファイザーとモデルナは、オミクロン型に特化したワクチンの開発も進めます。
2023年以降は、コロナワクチンの需要は、減少に転じると見られ、各社は、ワクチンで稼いだ資金を、次の成長投資に振り向けます。
モデルナは、オーストラリアや、アフリカでワクチンの新工場建設を進めるほか、アジアや欧州に新たな子会社を設立する計画を発表済みです。
ファイザーは、2022年の研究開発費が、前期比0~9%増の105億~115億ドル(約1兆2,000
~1兆3,200億円)を見込みます。
昨年12月には、消化器系難病治療薬を開発中の米バイオ医薬品、アリーナファーマシューティカルズの買収を発表しました。
各社の株価は冴えません。
モデルナの株価は、決算を受けて2月24日は15%高となったものの、2021年8月の史上最高値からは、約7割安い水準です。
ワクチンの比率の高いモデルナなどは、次の収益源となる製品の目処がつくまでは、不安定な株価が続くとの見方があり、市場では、ワクチンで稼いだキャッシュを使って、M&Aなど、パイプラインの強化に向けた動きが期待されています。
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