世界の不動産投資信託(REIT)投資が鈍化 【4月25日(月)】
世界のREITの時価総額は、3月末時点で、2.5兆ドル(約320兆円)と、2021年12月末比、5%減少しました。
コロナショックで26%悪化した、2020年3月以来、8四半期ぶりの大きな減少率となります。
2022年から、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測が強まり、景気減速の懸念が増しています。
景気が悪化すれば、物流施設からホテルまで不動産の利用が落ち込み、新規の不動産開発投資も縮小して、REITには逆風となります。
REITの収益源は、賃料収入で、電気代などのコスト上昇を、契約改定によって比較的転嫁しやすいとされています。
これまでの利上げ局面では、REITの相場は一時的に下落するものの、景気の強さで、賃料が上昇するのに伴い、回復するなど、耐インフレ資産として、評価されてきました。
しかし、足元では賃料を引き上げる前提となる、景気は減速懸念が強まるばかりです。
4月上旬には、景気後退の兆候と言われる、米国2年債利回りが10年債を上回る、逆イールドが発生しました。
4月の機関投資家調査では、景気後退とインフレが続く、スタグフレーションを予測する比率が、70%あり、リーマンショック直前の2008年8月の調査以来、最も高くなっています。
金利上昇はREITにとってマイナス材料です。
REITは、資金を借り入れて物件を取得することが多く、金利上昇は金利負担の拡大に直結しますが、賃料への転嫁が進まなければ、投資家への分配金が減ります。
米REITの予想分配金利回りは、3%台前半にとどまっていますが、米国10年債利回りは、2.9%を突破しました。
収益悪化懸念と金利上昇のダブルパンチで、10年債との利回り差は、1年で5分の1に縮まっています。
高利回り商品としてのREITの魅力は薄まってきています。
REITの時価総額ベースで、世界の7割を占める北米市場では、3月末時点で、2021年末比、6%減の1.8兆ドルとなっています。
アジア、欧州はともに3%減となっています。
米国の保有物件では、データセンター(14%安)、電波塔などのインフラ(12%安)、倉庫や物流などの産業施設(6%安)など価格の下落が目立ちます。
コロナ禍でも急成長してきた分野で、ブレーキがかかりました。
これまでの成長の反動もありますが、インフレや景気減速による、業績の悪化懸念が意識されています。
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