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米国・新種のインサイダー取引が急増【2月28日(火)】

企業の内部情報を利用した株式売買で不当に利益を得るインサイダー取引に新種の手法が急増しています。


通称「シャドーインサイダー取引」と呼ばれる手法です。


当該企業の株式を売買するのではなく、競合他社の株式や、上場投資信託(ETF)を売買します。


オーストラリアのシドニー・テクノロジー大学が、米国のETFを使ったシャドーインサイダー取引が急増しているとの論文を発表しました。


2009~2021年にM&Aを発表した3,209社を分析した結果、M&A発表の5日前までに当該企業を含む1,411本の業種別ETFのうち、平均して3~6%で、売買高が通常の平均より50%以上多い異常取引が見られました。


これをシャドーインサイダー取引と推定すれば、総額27億ドル(約3,500億円)に上ります。


従来のインサイダー取引は、M&Aなどの情報を入手し、当該企業の株式を事前に売買し、発表後の株価の変動で不当に利益を上げるのが一般的です。


一方、当該企業が組み入れられている業種別ETFを売買してもインサイダー取引と認識されにくいためシャドーインサイダー取引と呼ばれます。


米証券取引委員会(SEC)は、2022年末にインサイダー取引の規制強化のため、証券取引法を一部改正を行いました。


新規制には「シャドーインサイダー取引」という用語こそ使われていませんが、新種のインサイダー取引を取り締まるための改定と受け止められています。


規制強化の背景には、布石となる訴訟がありました。


SECは、2021年8月、米バイオ製薬会社メディベーションの社員をカリフォルニア州の米連邦地方裁判所に提訴しました。


メディベーションは、2016年米製薬大手ファイザーが買収することで合意しましたが、買収情報を事前に知った、メディベーションの責任者が、発表前にインサイダー取引を行ったという容疑です。


購入したのはメディベーション株ではなく、競合他社のインサイトの株式でした。


M&Aの事前情報を利用して、当該企業以外の株式を売買して、SECがインサイダー取引とみなした初めてのケースです。


インサイト株は、ファイザーによるメディベーションの買収発表後に大幅に上昇しました。


業界の再編が進み、インサイトも他社に買収されるとの思惑が広がったためです。


この社員は競合他社の株式はインサイダー取引に当たらないと訴訟の棄却を求めましたが、2022年1月、カリフォルニア州の米連邦地方裁判所は、社員の訴えを却下し、訴訟の継続を決めました。


シドニー・テクノロジー大学の別の調査では、M&Aを発表した米企業の20%で、当該企業の株式が絡む従来型のインサイダー取引が行われた疑いがあるとのことです。


より表面化しにくいシャドーインサイダー取引の件数は、膨大になる可能性があります。

 

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